MAGAZINE
マガジン
【対談】MiL株主 石川善樹さん × CEO 杉岡侑也
皆さん、こんにちは!
MiL広報の川出(カワイデ)です。
昨年末からスタートしました、MiL株主のみなさまと代表杉岡の対談インタビュー。第4回目は予防医学研究者・医学博士の石川善樹さんです!
弊社も実現を目指している”well-being”な社会。なかなか定義が難しいとされていますが、石川さんが考える”well-being”のこれからとMiLが目指していくべき姿について、話を伺ってきました!
—
対談:
石川 善樹さん【石】
杉岡 侑也【杉】
インタビュアー:
川出 朱夏
おふたりの出会いと、MiL(杉岡)に投資を決めた理由をお聞かせください!
【石】出会いはある会社のイベントですね。
【杉】はい、為末さんと同じタイミングでしたね。覚えてますか?
【石】もちろん。あのとき、とある偉い人から「素敵な若者がいるんだよ〜」って言われて。「あ、素敵な若者がいるんだなあ。」と。若いときって、いかに自分をアピールできるのかが大事だと思うんです。じゃないと埋もれちゃうから。で、その時に「アピールしている若者がいるな」って思ったのが杉岡くんですね。
【杉】だって必死ですもん!!為末さんはひいてたかもしれないです(笑)
【石】でもなんか、スタートアップぽくなかったですよね。見た目がちゃんとしてるから(笑)服装もカジュアルじゃなかったし。結構スタートアップの人ってジーンズとTシャツの人とか多いイメージなんですけどね。
【杉】あの時は確かにジャケットもちゃんと着てましたね。
【石】ちゃんとしてて、熱い子がいるんだなって。ファーストインプレッションがよかったのかもしれません。その後、杉岡くんと渋谷のシェアオフィスで顔を合わせることが多くなって。いつもちゃんとしている人なんだな、って改めて思っていました。会社の成長に向けて真剣に頑張っているんだな、ということが伝わってきましたね。それで出資しようと決めたんですけど、僕は投資しよう、というよりは応援の気持ちの方が大きかったです。
【杉】結構ヌルッと決めてくださいましたもんね。
【石】「食」に興味があったっていうのも大きかったですね。
【杉】確かに”well-being”の大きなテーマの一つですもんね。僕、”well-being”の中にも、身体的な健康・豊かさと精神的な健康・豊かさがあると思っていて。もちろん全てが良い状態であるべきだと思っているんですけど、身体的な健康をつくるためには、意外と精神的な面も影響すると思うんです。その上で、今の時代「エンターテイメント性」とか、これまでと違ったアプローチじゃないとダメな気がしていて。
【石】ヘルスケアの業界が一般の業界と違うのは、エビデンスが大事だというところだと思います。でも、みんながエビデンスから考え始めるので、結局スタート地点が一緒だから普通にいくと、最終地点も同じで差別化ができなくなってしまう。そんな中、杉岡くんたちはエビデンスも大事にしつつ、スタート地点が違う。「親子の時間」という考えからスタートしているので、その視点って面白いなと思ったんです。どこからはじめるかを考えたときに、ヘルスケアの業界が陥りやすいところを上手くクリアしていると思います。
【杉】なるほど・・・エビデンスがあるから拡がる訳ではないってことですね。
【石】あとは、選択肢が少ない領域でもありますよね。離乳食って。そこに入り込んだのもうまいなって思いました。この領域は是非、徹底的に取り組んで行って欲しいな、と思っています。
【杉】引き続き、頑張ります!
石川さんからみた”well-being”とMi+ミタスについてお聞かせください!
【石】さっきの話に戻りますけど、肉体と精神ってやっぱり繋がっているんですよね。例えば、子育てに関していうと、特にお母さんのストレスがあるかないかは、実は子どもの脳の発達とか身体の発達にとても重要なんです。
【杉】”アタッチメント”とかよくいいますもんね。
【石】そうです。その上で「MiLが何を解決している会社なのか」と問われたときに、「実は親子の時間を作り出しているんです。」と言えるのは強い。昔、ある会社の洗濯機の広告で、”主婦の読書時間をどうしてつくるか”というコピーがあったんです。普通だと「洗濯の時間を節約しよう」ということがアピールポイントになるはずなのに、洗濯機が提供できる価値はもっと別にあるんだ、と。”Well-being”は別の言い方をすると”いい時間を過ごしてもらう”ということ。ミタスの離乳食も、”親子や夫婦の時間をつくり出す”という点が本当のベネフィットなんだと思います。日本の夫婦は、特に子供が生まれると二人で過ごす時間や自分の時間をつくろうとしないんです。でも、自分の時間を予約することって大事で、いい時間をつくろうとすると、実はやれることってたくさんあるんですよね。
【杉】そうですよね、僕たちは商品ではなく、”パパとママが子どもと過ごす時間”や”パパとママが自己投資できる時間”を提供していると思っています。
【石】”産後クライシス(離婚)”というコトバがあるように、子供が生まれてから離婚する人って結構多いんです。その時期って、パパもママもストレスが溜まりやすい時期でもありますし、夫婦の関係が崩れがちになります。なので、自分の時間の使い方をコントロールするのってすごく大事です。
【杉】ミタスの離乳食は、他社の商品に比べると価格も2-3倍と高いのですが、今のユーザーさんの多くには、商品を使うことで得られる時間的なメリットを感じでもらえているのかな、と思っています。
【石】そうですね。子どもの健康はもちろん、家族が”well-being”になっていくってことですね。
【杉】パパママがハッピーでいられるかは、子どもにも伝わるっていいますもんね。
【石】日本の格差研究をされている近藤尚己(東京大学・准教授)さんが「貧しい人や苦しい人を健康にできたら、それこそがイノベーションなんだ」とおっしゃってました。イノベーションって普通、お金持ちをターゲットにすることが多いですが、そうじゃないところからビジネスするって新しい手法だなと思います。
【杉】なるほど・・・!今回僕たちが取り組んでいるフローレンスさんとのキャンペーン(#令和を生きるキミへ )についてどう思いますか?
【石】一つ思うのが、”寄付”が正しいのか、ということです。例えば、アフリカに「シエラレオネ」という国があります。世界一寿命が短い国ですね。その中でもさらに貧しいスラム街があって、そこに住む人たちに「何が欲しいか?」と尋ねると、「iPhoneが欲しい」と答えたそうです。衛生的な水や住む家すらない状況の中で。なぜかと聞くと、「iPhoneで大音量で音楽を流して、”俺はiPhone持ってるんだぜ”って言いたいんだ」と。つまり、この話がいいかどうかは置いておくとして、要は「自尊心」って人が生きる上での必需品なんだなと思いました。「iPhone=かっこいい」のように、自尊心をくすぐるイメージがつけば、所得関係なくファンがつくブランドになれるんじゃないでしょうか。ミタスもそこまでいけるといいですよね。特に今はまだ、離乳食を家で使うことがあまり普通じゃない。
【杉】そうなんです。一昨年から去年でやっと、使う人が10%増えたといわれているくらいです。今の時代のママは、いろんなプレッシャーの中で生きていると思うんです。昨年からも男性の育休の話が多くのメディアで取り上げられていましたが、今後そういった問題にも取り組んでいきたいな、と思っています。ミタスのユーザーにも、実はおじいちゃんやおばあちゃんに購入いただくケースも増えてきていて。一つは「いいものをあげたい」。そしてもう一つは、核家族化が進んで、昔よりも孫に会う機会が減ったことで「コミュニケーションのツール」としての何か、を必要としているんだと思います。
石川さんが思うこれからの”well-being”なあり方とは?
【石】お金の稼ぎ方や時間の節約術は学んでも、実は「時間やお金を何に使ったらいいのか」ということは僕たち習わないですよね。それってつまり、「どうしたら自分の”well-being”を実現できるのか」ということに繋がってくるんですよ。同じ収入の人でも”well-being”の高い人と低い人によって、どう時間やお金を使っているのかによって変わってきます。そこをしっかりと汲み取ることが、これからのビジネスにおける成功の鍵になるのではないでしょうか。
【杉】確かに、ミタスは先ほども述べたように他社よりも単価が高いですが、僕たちのユーザーみんなが所得が高いと言われると、実はそうじゃないんです。
【石】それは、そのユーザーさんが時間とお金の使い方を考えた結果、ミタスに投資価値があると判断したんだと思います。
【杉】そうだと嬉しいです。パーソナライズ化が進み、個々の”体験”が大事になっていっている中で、いわゆる”口コミ”はあまり意味がなくなってきていると思うんです。だって、AさんとBさんとCさんは体験が違うから、一つの意見だけだと解決できないことってたくさんある。なので、意思決定するときに、どうやってひとりひとりをサポートするか、が次のマーケティングに必要になってくると思っています。やっぱり”信じられる何か”は必要だと思うんですよね。
【石】”買う理由”と”買い続ける理由”は大体違いますよね。始める理由は結構単純なんですけど、続ける理由って何かしらモチベーションになるものがある。それこそ、”well-being”であるかだと思います。「ミタスを使うことで何を得られるのか」ということは、最終的に人それぞれなんじゃないでしょうか。
今後MiLに期待していることは?
【杉】これからもっとテクノロジーが発展していく中で、僕たちが目指している”フードテックカンパニー”になるためには、データがキーになると思うんです。
【石】まさにそうですね!すこし一般的な話になりますが、科学の基本は測定です。つまりデータをあつめる。そしてデータがたまると、そこから知識(ナレッジ)が取り出される。そして知識を組み合わせてイノベーションが起きる。
つまり、 “データ→ナレッジ→イノベーション”という流れを加速することが科学の本質です。データを取るだけではイノベーションは起こせない。同時に、データを集めてからイノベーションにつながるまでには、やはり長い時間がかかるということでもあります。
ぜひ、MiLには”フードテックカンパニー”を目指してもらいつつ、しっかりとデータを集めるところから、イノベーションを起こすところまで飛躍していってもらいたいです。
【杉】肝に銘じます!今はベビーフードだけですが、この春にソフトクッキーを発売するように、まずはユーザーの声をしっかり拾いながら、世の中のパパママに愛されるブランドになれるよう、改善・開発を進めていきたいなと思っています。
Fin.
—
石川 善樹(いしかわ よしき)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がよく生きるとは何か?」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。2020年4月に「フルライフ」(News Picksパブリッシング)が発売予定。
Twitter:https://twitter.com/ishikun3
個人サイト: https://yoshikiishikawa.com/