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【対談】MiL株主 為末大さん × CEO 杉岡侑也(後編)

皆さん、こんにちは!MiL広報の川出(カワイデ)です。

MiLを応援してくださっている株主のみなさまとの対談シリーズ。第1回は、元プロ陸上選手で、現在はご自身で会社を経営されている為末大さんです!

前編では、「走る哲学者」といわれている為末さんが考える「食」とは、そして今回なぜMiLへの投資を選んでくださったのかを伺いました。後編では、今後あるべき姿とMiLに期待していることについて、お話しいただきました!

対談:
為末 大 さん【為】
杉岡 侑也【杉】

インタビュアー:
川出 朱夏

為末さんからみたMiLはどんな印象ですか?

【為】食の「ユニクロ」というイメージでしょうか。僕の考えのベースに、競技者のブランディングのイメージがあるんですよね。選手が有名になるとスポンサーがついて収入が入る。収入が入るようになるといい練習環境がつくれて競技力が上がる。有名になるにはとにかく強くなろう。そしたらブランドはついてくる。ブランドをつくって土台を固めたら競技に集中できる。そういう考えで、僕はファンダメンタルを固めていくやり方が好きだったんですよね。そっちの方が安心するし、何かあったときのダメージが少ない。
ユニクロはまさにそうで、ファンダメンタル=ベースとなるものを作りつつ、同時にブランディングも行ってきた。ただ、これには一つ難しい点があって、その組織や個人にとって「一番大事なものは何か?」が一番の土台となるので、それがわかっていないとベースがつくれないんですよね。企業のビジョンやミッションもそこからでき上がるものなので。ユニクロに当てはめると、”ライフウェア”という日常の機能性を徹底的に追求してベースをつくり上げて、その上にブランドをつくったんだと思います。

【杉】僕たちは今、ベビーフードの事業をしていますが、消費されている食品の中に「何となく健康にいいもの」を無意識に買っていることってあると思うんです。納豆とかヨーグルトとか。僕はこの、食から創るヘルスケアの領域をもっとハックしていきたいんです。為末さんにユニクロさんのライフウェアの考え方をいただいたときから、「僕たちがやろうとしているのはユニクロの哲学に似ていて、流行りなんかじゃなくてベースをしっかりつくっていくことが大事なんだ」と思うようになりました。それって強いブランドづくりを行う上で必要なことだと思うんです。

【為】その上で大事なことって、誠実でシンプルなモノ作りになってくるんでしょうか。

【杉】そうですね。更に、素材を感じる美味しさや、身体を作るというヘルスケアの思想ではないでしょうか。そもそも長く続けられるものってシンプルで落ち着いているイメージがあります。土台がしっかりした形になり、これがグローバルに展開していこう、となったときにどう見えるのかは想像したら楽しみです。

【為】アジアだとヤクルトがそれっぽいですよね。「風邪引くとヤクルト!」みたな。

【杉】第一想起されるというのは、非常に強いなと感じます。

【為】リプレイスするのは難しい、といわれている中で、舌(味)を押さえることって大事なんですよね。「懐かしの味」になっちゃうと、「ついつい食べてしまうもの」になれる。

【杉】日本の会社はそこをうまくやっているイメージです。「●●といえば●●」といったブランド作りが、特に食品メーカーは強い。我々も習って、まずはベビーフードからそこに挑戦していきたいと思っています。

【為】MiLは健康領域でそこを狙っていけるんじゃないでしょうか。「健康」の定義って時代ごとに変わっていて、例えば戦後だと「ケミカルなものは健康だ」と言われていました。「ケミカル」って名前が付いているだけで「健康そう」と思われていた。

【杉】今と真逆ですね。

【為】そう。健康のイメージって時代とともに変化しているんですよね。80-90年代って「加工していないと工夫していないし、お金出す価値ないよね」と思われていた。でも今は、原点回帰で「素材そのままの方が健康だよね」という流れになっていますよね。スポーツの世界でもヨガとかが流行っているのは、そういう世の中の流れも関係しているんじゃないでしょうか。サッカーとか野球の機械的なスポーツと、ヨガやランニングのようなナチュラル系とは哲学的にも違うんですよね。前者ってケミカルっぽくて、後者のようなナチュラル系が流行りだしたのは食と似ていますね。

来年さらに商品開発やプロモーションを加速していく上で、大事なことって何だと思いますか?

【杉】今までは有名人が宣伝するだけで「その商品良さそう」となる時代でした。でも今はそうじゃない。

【為】ソーシャルメディアの登場で、自分の意見をいうことと、それが一貫していることがすごく大切にされる時代だと思っています。ソーシャルメディア上ではずっと露出されているから、キャラ変するのって難しい。
もう一つの大きなポイントは、マスのニーズや事象に対して、何通りもの選択肢がある世の中になったことです。ただ、その選択肢が多すぎて選べない、わからない、とパニックになってしまう。そんな背景から、ライフスタイルの提案をする人、いわゆるインフルエンサーが注目されるようになったんじゃないでしょうか。芸能人であっても、これまでは「どれだけ有名か」が大事だったのが、「何を信じているか」が問われる時代になった。プロモーションを行う上で、その人が普段食べているものと広告が紐づいていることが大事になってくると思います。

【杉】それって、ひとりひとりのファンダメンタルの積み上げ方にも寄与するってことですよね。

【為】そう。「あの人ならこれしそう」というのが浮かぶのがインフルエンサーのパワーの源泉で、それが今の時代強いんですよね。だから一貫性があることを発信する、本当に思っていることを”白状する練習”が大事だと思います。「これが好き、これが嫌い」というのがちゃんといえて、その延長線上に共感してくれる企業とのパートナーシップを結ぶというのが当たり前になってくるんじゃないでしょうか。

【杉】ということは、MiLのことが好きな人は声を大にしていった方がいいってことですね!

【為】そういうことだね、#タグつけて(笑)

はじめて食の領域に投資してくださったとのことですが、為末さんが思い描く20年後とMiLに期待していることを教えてください!

【為】今後、「誰がテクノロジーに手を入れるのか」ということが重要になってくると思うんです。大富豪で知られるリチャード・ブランソンさんが、大きな湖畔の真ん中にボートを浮かべて、MacBookを打っている写真があるんですけど、みんなそんな風になりたいと思ってると思うんです。要するに、本当は自然と親しみたいけど、テクノロジーは重要だから、そのバランスが必要になってくる。テックだけに寄っていくのは人間の本質とは違ってて、だから自然に戻ってくると思うんです。
一方で、自然に寄りすぎると生産性とかが失われてしまう。なので、人が本当に生きたいライフスタイルは、テクノロジーを活用しながら、自分の身体はなるべく自然と一体で生きていたい。そんなバランスを取りたいんじゃないのでしょうか。
オーガニックのような自然な食べ物ができる畑がある世界と、ドローンが飛び回っている世界があって、それを誰が融合するのか?ということに興味がありますし、MiLにはそんな世界を築いていって欲しいですね。別にテクノロジーも否定しないしデータも取るけど、一方で自然のものも大事にする。そんな間の世界ができれば、そこに多くの人の新しい幸せの形ができていくんじゃないでしょうか。

Fin.

為末 大(ためすえ だい)

1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初めてメダルを獲得。3度のオリンピックに出場。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2019年12月現在)。
現在はSports×Technologyに関するプロジェクトを行う株式会社Deportare Partnersの代表を務める。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。
主な著書に、『走る哲学』(扶桑社、2012年)、『諦める力』(プレジデント社、2013年)などがある。

Twitter:https://twitter.com/daijapan